アジアシリーズ vol.3 マレーシア特集 公演編 インスタントカフェ・シアターカンパニー『NADIRAH』
- 作:アルフィアン・サアット
- 演出:ジョー・クカサス
- Photo: Sesha Kalimuthu
マレーシアを代表する演出家・俳優のジョー・クカサス率いるインスタントカフェ・シアターカンパニーの代表作。シンガポール出身の新進気鋭の劇作家アルフィアン・サアットが、マレーシアの伝説的な映画監督であるヤスミン・アフマドの映画「ムアラフ 改心」と、実際に起きた事件から着想して執筆した作品。結婚という人生の節目で起こる問題を通して、マレーシアで生きる人々の宗教や信仰というテーマがリアルに浮かび上がる。
プログラム詳細
会場 |
にしすがも創造舎 |
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日程 |
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上演時間 |
120分 |
上演言語 |
英語、マレー語上演、日本語字幕 |
公式サイト |
http://www.festival-tokyo.jp/16/program/nadirah/ |
ジャンル |
演劇 |
チケット
自由席 | 一般前売3,500円(当日+500円)ほか |
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キャスト/スタッフ
作 | アルフィアン・サアット |
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演出 | ジョー・クカサス |
製作 | インスタントカフェ・シアターカンパニー |
共催 | 国際交流基金アジアセンター |
主催 | フェスティバル/トーキョー |
アーティストプロフィール
シンガポールで最も知られている劇団のひとつであるW!LD RICEの座付き脚本家である。これまでに3冊の詩集、短編集『廊下』(1999)、超短編小説『Malay Sketches』(2012)、脚本作品『Cooling Off Day』(2012)を出版している。脚本家として、シンガポールの演劇賞であるLife! Theatre Awards では、最優秀オリジナル脚本賞に10度ノミネートされ、そのうち『Landmarks』(2005)、『Nadirah』(2010)、『Kakak Kau Punya Laki』(2013)、『Hotel』(2016年)で受賞。また、マレーシアの舞台芸術賞BOH Cameronian Arts Awardでは、『The Secret Life of Nora』(2011年)、『Parah』(2013年)で受賞している。作家としては、2001年に短編小説や詩の分野に贈られるGolden Point Award for Poetryで最優秀賞を受賞。『廊下』、『A History of Amnesia』(2004)、翻訳作品『The Widower』(2016)でthe Singapore Literature Prizeを受賞している。
- マレーシアの多様な民族、宗教、文化から起こる緊張関係を、政治的な風刺コメディとして描くことを特徴としている。
- クカサスの演出作品は、古典から現代演劇まで多岐に渡る。これまで、中華系移民の世界をシャイロック、マレー人イスラム教徒の世界をアントーニオとして描いた『ベニスの商人』(2000)や、インド伝統舞踊カンパニーと共同して制作された野外劇『真夏の夜の夢』(2012)などを発表している。
- また、マレーシア人若手作家との作品創作も精力的に行っている。シャノン・シャー作『Air Con』(2009)は、エリート寄宿学校で起こったトランスジェンダー殺害事件を描いた作品である。ジェンダー問題をはじめ、同性愛嫌悪、宗教、いじめをテーマに創作された。その他、外国人恐怖症と人種との関係を描いた『Flies and Foreigner』(リズワン・オスマン作、2004)、マレーシアの政治家の暗殺事件を描いた『Hero』(アルン・スブラマニアン作、2011)を演出した。
- 国際共同制作には世田谷パブリックシアターとのコラボレーション作品『あいだの島』(2000)がある。マレーシアと日本の俳優を起用した多言語演劇である本作では、共同脚本と演出を手がけた。また、世田谷パブリックシアターの呼びかけにより始まった3年に渡るコラボレーション企画にも参加。2005年にインドネシア、タイ、シンガポール、フィリピン、マレーシアの作家/演出家と共同で創作した『ホテル グランド アジア』を発表している。2006年にマレーシアで初演した『ブレイク-ィング』は東京とシンガポールをツアーし、2017年には『Raj』『the End of Tragedy』のツアーが予定されているなど、国内外で精力的な活動を行っている。
- 俳優としてはマレーシアとシンガポールの両国で高く評価されており、多数の賞を受賞。公演や演劇ワークショップも行っており、マレーシアをはじめ台湾、日本、シンガポール、ブラジル、ニューヨーク、香港など世界各地で開催している。 アルフィアン・サアットの戯曲を演出したものはこれまでに3作品ある。2011年に上演され、シンガポールの総選挙を描いた『Cooling Off Day』。オーストラリアのフェスティバルにも招聘された『Parah』(2011)では、民族と友情を描いた。そして民族、宗教、家族をテーマに創作された『NADIRAH』(2009)は、シンガポールとマレーシア、そして今秋東京で上演される。